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ホームインタビューVR時代のマーケティングとは何か? 業界初VR領域専門マーケティング支援会社“カレイドグラファー”に聞く
インタビュー
2017/02/27 23:00

VR時代のマーケティングとは何か? 業界初VR領域専門マーケティング支援会社“カレイドグラファー”に聞く

昨年末、株式会社Legoliss、株式会社FiveHangoutsが共同で、Virtual Reality(バーチャルリアリティ 以下VR)領域におけるマーケティング活動支援を目的とする、株式会社カレイドグラファーを設立したというニュースが業界に流れたことは記憶に新しいところだ。VRbeatでもその一報をニュースリリースとして掲載したので、覚えている人もいるかと思う。

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その際のニュースを要約すると、創業以来データというキーワードを軸に、進化したテクノロジーとマーケティング活動を行う企業向けに、データを”使う”支援を行ってきたLegolissと、ビジネスエグゼキューション事業を展開し、リアル店舗開発などを行なっているFiveHangoutsが、両社の特徴を融合し、新しい価値を提供することを目的とするVR領域専門のマーケティング支援会社カレイドグラファーを設立したという内容だ。

またカレイドグラファーは、VR対応のゲームやミドルウェア開発事業を運営する株式会社ダズルと業務提携を締結という発表も同時に行った。

いったい、VR領域専門のマーケティング支援とはどういうことなのか? カレイドグラファーが目指す先は、どんなVRの世界なのか。今回、株式会社カレイドグラファー設立メンバーのお三方にお話を伺うことができたので、早速レポートしてみたいと思う。

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株式会社カレイドグラファー
取締役・淵上優氏(左)
代表取締役・重原洋祐氏(中央)
取締役・酒井克明氏(右)

──今回の新会社設立について、改めてお聞かせください。
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重原洋祐氏(以下、重原) 株式会社カレイドグラファーはLegolissという会社とFiveHangoutsという会社の合弁で作った会社です。Legolissは今ちょうど2期目の終わりぐらいなんですが、元々Webマーケティングといいますか、広告主様に対してのデジタルマーケティング支援だったり、マーケティング支援という領域でずっとお仕事させていただいてます。軸としては、もうこれも数年前からマーケティング領域でお客様の持っているデータというものを活用して、マーケティングのサイクルを高めたり、最適化をはかっていくというビジネスをやらせていただいております。

おかげさまでLegolissのビジネスは順調なんですが、とはいえ小さい会社なので、クライアント様の持つデータを活用するだけではなく、今後は新しい事業としてデータを作っていくような事業もやっていかないといけないよねというのをLegoliss内で一年以上前から話をしていました。

では具体的に何をしようかという議論の中で、淵上さんがFiveHangoutsでダズルさんとのお付き合いがあって、そこでダズルさんとお話をするようになったのが、実はVRへと進むきっかけになりました。

そのあたりからいろいろVRコンテンツを体験し、その没入感のすごさだとか、これはやってみないとわからないな、というものを実際のVRで体験したのが非常に大きくて、これをマーケティングに使うことによって、クライアント様がユーザーに対して与えられる感動だったり、それ以上のものが、恐らく従来のマーケティングで得られるものよりも、VRを使うことによって実現できるんじゃないかなと思ったのが、カレイドグラファーを立ち上げるきっかけになりました。

ただそこで単純にVRを使って我々がクライアント様向けにイベントを企画したり、100本ノックをやるというようなイベント屋さんだけをやるのは、僕らがやる意味がないよねって話になり、LegolissではWebマーケティングでデータを扱ってますので、自然にユーザーさんがVRを体験したときに得られるデータを扱っていこうという話になりました。これもどういうデータを取るかというのは意外と難しいんですが、感動というかエモーショナルに近いデータをクライアント様側にフィードバックすることによって、今までのリアルの体験だったり、わざわざ店舗に行かなくちゃいけなかったり、何か体験をしに行かなくちゃいけなかったことを、VRによって別の場所、好きな時間に体験できるようになり、かつマーケティングに役立てられるデータをそのまま蓄積することができるということが実現できると、クライアント様にとっての価値というのも、ただイベントをするよりもすごい高まるんじゃないかということで、LegolissとFiveHangoutsのお互いの強みを活かしていこうということで、一緒に事業をスタートさせました。

これからどういうふうにやっていこうかというのは、まさにこの3人で日々考えているんですが、To C(対コンシューマー)で一般のユーザーさんがみんなヘッドマントディスプレイを買う時代というのは相当先の話だろうと我々は思っています。そういう環境下で、VRをマーケティングに使うというのはどうしたらいいんだろう? っていうところはいくつかアイデアを絞りながら、きちんとクライアント様に対して、一般のユーザーさんがVR体験できる環境の構築などを僕らのほうがしっかりと提供できるようなビジネスをやっていきたいと思っています。

──VRから得られるデータというのは、実際にはクライアント様もどんなものが得られるのかがわからない時期だと思うのですが、具体的にはどんなデータが得られるのでしょうか?

重原 やりたいと思っているのは、今まで我々が扱ってきたデータというは、たとえば『VRbeat』を見ている人はVR好きだよね、化粧品のサイトを見ている人は化粧品に興味があるよねというような、訪問者属性に応じてセグメントを付けていくようなデータをたくさん集めるという、行動履歴でずっとデータを取っていたんですが、たぶんVRは感じたデータというかエモーショナルなデータ、VRを見ているときの感動をデータ化することだと思っています。感動をどう取るかは体験するコンテンツによっても変わると思いますが、どういう問いかけをするとユーザーは答えてくれるのかなど、行動ではない、直感的なデータみたいなもの取っていくことが、VRの領域では重要になってくると思っています。

──それはコンテンツによっても得られるデータが変わってくると思うのですが、どんなデータが得られるのでしょうか?
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取締役・酒井克明氏(以下、酒井) まだ具体的に決めているわけではありませんが、正直いろいろなものにチャレンジしたいと思っています。今現在はVRというとゲーム系のコンテンツから参入される企業様が多いんですが、今後はスポーツだったり、アーティスト系のコンテンツだったり、それから自治体がやられているイベントなど、いろんなものがコンテンツとして出始めてきているので、VR化できる映像のあらゆるコンテンツからデータを取っていきたいなと思っています。
そこでの体験をどういうふうにユーザーさんは感じているのか、僕たちも一緒にチャレンジしながら、データをためて、どういうデータがどう効果的なのかを見極めていきたいと思っています。

──逆にいえばデータの必然性がはっきりと見えてきた中で、どうそれをVRで取っていくかということでしょうか?

一同 そうですね。

酒井 我々のいるマーケティング業界ってデータ取得をやっているほうなんですよね。ユーザー行動データなどをどうマーケティングに活かしていこうというのは、かなり進んではいるんですが、やはりそれらはWeb上での行動データでしかなく、リアルなイベントでのデータではないなど、まだまだそのあたりに課題感が残っているので、そういう部分を補完する意味でもVRでの体験をデータ化していくのは価値があると判断しています。

──そうなると、まずはB to Bでのビジネスということになるんでしょうか?

重原 最初はそうなりますね。どうしてもVRの普及が追いつかないので、そこはまずはto Bになると思います。

──ではto Cの分野は、VRは今後どうなっていくと考えていらっしゃいますか?

重原 人によって、違う感覚でそこは捉えていらっしゃると思いますが、人によっては2020年の東京オリンピックまでにはくるんじゃないかとか、いやもう少し早いんじゃないかという人もいらっしゃいますが、結局、今のところ爆発的なコンテンツがないので、正直、その予測は難しいと思っています。

そこは本当に人ぞれぞれの感覚だと思いますが、個人的にはオリンピック後なんじゃないかと思ってます。やっぱり自分でVRを体感してみて、最初にもいったようにやらないとわからないところがあるじゃないですか。ですので思った以上にこない可能性もあると思っていて、ちょっと前に3Dテレビとかが、くる、くるっていってこなかった事例があるじゃないですか。さすがに3DテレビとVRを比べるのも変なんですが、一般ユーザーにはさほど広まらない可能性もあるかもしれないというのも感じています。しかし機材やコンテンツ、VRの体験に関しては、to Bでは使われて、例でいうとカラオケの機材が一般家庭に普及しないようなものに近いんじゃないかなと思っています。きちんと場を提供してあげれば、一般ユーザーさんが体験する環境というのは作れるんじゃないかなと思っています。ですので、僕個人としては、一般ユーザーが一家に一台VRという環境にならなくても、ビジネスはぜんぜんできると思っているので、実はその点はさほど気にしていません。

酒井 オリンピックは、VRを体験する場が増えるいいチャンスだと思います。オリンピックを実際に会場まで行って見たいけど遠くに住んでいるので行けないとか、より臨場感を味わいたいという人向けにVRコンテンツが用意できれば、スポーツがさらに身近なものになり、いろんな人が影響を受けてスポーツするようになったりとか、そういう社会性みたいな意味でもVRを使ってオリンピックの体験の場を広げるというは、いろんなきっかけになると思いますので、そういう期待はしています。VR業界にとってもオリンピックというタイミングはいいチャンスだと思います。

──ちなみにみなさん、どういう体験からVRをすごいと思ったのか、またビジネスをやってみようと思ったのか、その体験をお聞きしてもよろしいですか?

重原 僕は初めて体験したVRはゲームだったんですが、ヘッドマウントディスプレイをかぶった瞬間、「わ、これすごい」と思いました。「あ、これはもしかしたら相当使えるかも」と、感覚的に一瞬にして思いましたね。特に2回目にやったホラーゲームは、「うわっ」というのがきて(笑)、「これはやべー」っていうぐらいうわってきたので、その没入感には感動しました。僕らはゲーム屋さんではないので、そこからゲームの分野に行こうとは思わなかったんですが、これをマーケティングに使ったら、結構、面白いだろうなというのを感じましたね。

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取締役・淵上優氏(以下、淵上) 僕も最初はゲームでしたね。VRで、今までにない感覚、今までにない世界にボンっと入っちゃったみたいな、その感動というか感覚が、すごい面白いなというワクワクする感情だったんですよ。それを、やはりずっとマーケティングをやっていく中で、いろいろとたくさん広告をやっているものの、その広告によってワクワク、ドキドキみたいなものって、なかなか感じられない、感じ取れないユーザーもいるということと、ブランド側もどうやってブランドのメッセージを伝えるか、のせるかというところで、ずっとクリエイティブをやっているんですけど、やはり一番直感的に訴えられるコンテンツ、体験、空間みたいなものは、VRだなと思いました。最初はゲームを楽しもうと思ってVRの体験に行ったんですが、これってマーケティングの文脈にのせると何が起こるんだろうみたいな興味・関心がすごくわいて、もちろんリアルのイベントも感動はあると思うんですが、VRはリアルなイベントを行うよりもすごくライトにリアルな体験ができるというのが、これまでのマーケティングにはなかった導線だったので、何かしらこうブランドメッセージをのっけた、かつそれに合ったコンテンツを作ることができれば、すごいプロモーション効果になるんじゃないかなって、そのときに思って、これはビジネスするしかないなと、その場でわりとやろうと決めました。しかし決めたものの、じゃあどういうふうにやろうというのが正直なところでした。それが逆にすごいビジネスチャンスというか、感覚的にこれは面白い、いけると思っても、でもわからないことが多すぎるので(誰にとっても)、どうにでもなると思っちゃったんですよね。なのですぐにチャレンジしたいと思いましたね。

重原 一方で、僕は最初にかぶったVRがHTC Viveで、ま、そのあともHTC Viveをずっとかぶったりしてて、それからPlayStation VRやほかのものも何個か買ったりしながら、ハードの重要性というか、ハードがやはりまだ駄目なところもいろいろあって、僕もイベントで段ボール型のVRゴーグルにスマホ入れて見るとか、その手の体験をしてみましたが、あれだと全然話にならんというぐらい、没入感が得られないとか、なのでそのへんはどう使っていくのか、本当にいろいろとお客さんと話し合いながらマーケティングを考えていかなくちゃいけないかなと、思いましたね。

酒井 この間も、僕と重原でCES(ラスベガスで開催される世界最大のコンシューマーエレクトロニクスショー)に行ったんですよ。向こうってすでにハードの種類がすごくて、ヘッドマウントディスプレイだらけなんですよ。VRのコーナーができてるぐらい、ずらーっとハードが並んでいるんですが、ソフトウェアがものすごく少なくて、ソフトを展示している企業が本当に少ないんですよ。データを取るなんてもちろんないし、うちはもうハードを提供しているだけですみたいな企業ばかりで、ま、背中にハードを背負いながら移動体でVR体験できるようなものとか、興味深いハードは出ていたんですが、やはりソフトウェアがまずないんですよね。そのへんがやはりまだまだVRの広がる速度が遅い原因なのかなって、CESで改めて思いましたね。

ただなんかハードもアジア系のものが多く、韓国は元々すごいVRは進んでいるとは思うんですが、中国のメーカーがすごい数のヘッドマウントディスプレイを出してはいるんですが、そのクオリティが「ん?」というのも多いので、そこに日本のメーカーももうちょっと頑張ってクオリティの高いものを出せば、もっともっと広がるのではないかなと思いました。
あとはそこに、それこそスポーツやもう少し公共性のあるところがコンテンツを提供してくれるようになれば、もっといっきにVRも広がっていくんじゃないかなと思いますね。

──つまり僕らがメディアの世界からVRを見て感動してメディアを作るように、みなさんはその経験からVRを見て感動して、マーケティングに取り入れたいと思ったということですね。

酒井 マーケティング業界もVRで参入する企業って、まぁまぁ増えてきてはいるんですが、どっちかというとVRの映像制作をする会社さんだったり、やはりゲーム系の会社さんとか、そういうプレイヤーは多いんですが、僕らみたいなデータを扱っているプレイヤーがVR方面に参入するというのは、まだほとんどないですね。ですのでまだ誰もやっていないので、そういうデータという文脈でVRの市場を見たときに、今後どうなっていくのかなというのがものすごく楽しみですね。そこから得られるデータも豊富だし、それをどう活用していくか、本当に我々にとって興味があることなんですよね。チャレンジングではありますが。

──マーケティングという分野においても、本当に新しい分野で、何がどうなるかわからないみたいな難しさもまた面白いというところでしょうか。

酒井 はい、そうですね。またそこを開拓していきたいというのがありますね。

──今現在、ビジネスとしてターゲットとしているVRのハードウェアは具体的にはどのあたりになるんでしょうか?

重原 本当はHTC Viveあたりがいいなとは思っているんですが、結局、PC側のスペックの高さが問題だったり、それをつなげるケーブル類は、なかなかハードルが高いですよね。無線でVRができるようになるといったことも発表されてますが、そういった環境の問題を考慮すると、コンテンツによっていろいろ考えられると思います。一番クオリティの高い表現方法を求めるお客様に対してはやはりVRゴーグルもPCも最上位のモデルを使用することになると思いますが、個人的にはやはりスマホですね。

自分のVR体験で、最初にHTC Viveをやったあとに、iPhoneと3,000円ぐらいの少しカチッとしたVRゴーグルでやったら、それでも感動はあったんですが、やっぱりちょっとしょぼかったんですね。そのあとGear VRをやったら、そのクオリティが思った以上によくて、ま、Gear VRだけじゃないとは思うんですが、結局、僕らもデータと連携していくことを考えると、何かしら媒介を通さなければならないので、そうなると、もちろんPCという選択肢もありますが、先ほどの取り回しが難しいという問題もあるので、そうなるとスマホ対応のVRの分野を強化していくという、それをメインにしていろいろと考えていくのがベストかと思っています。

酒井 マーケティング業界の中でも、スマホってものすごく重要なデバイスで、もうみなさん生活の一部なので、そのデバイスをうまく使っていくことが今後のVR市場を広げていく意味でもキーになると思うんですね。PCってクオリティがめちゃくちゃ高いんだけど、スペックの問題とか、そんな高価な物を誰が買うんだっけ? というような広がりにくさもあると思いますので、すでに皆さんが持っているもので表現できるほうが、広がりがあるんだろうなと思います。

──GoogleのDaydreamも視野に入れると、可能性はますます広がりますね。

重原 そうですね。日本に正式にくるタイミングでそのあたりは試したいなと思っています。本当、安いスマホ用のVRゴーグルとGear VRの違いが、想像以上に大きかったので、スマホもヘッドマウントディスプレイの性能が重要なんだなと思いましたね。

──Gear VRはGalaxyのクオリティもまた重要でしたね。

酒井 そうですね。韓国の動向も見逃せませんね。そういえばこの間、淵上さん韓国出張に行ってましたね。韓国、どうでした?
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淵上 韓国は展開が早いですね。韓国にはソフトの会社もあるしハードの会社もあるし、最近は中国から安くハードを仕入れて、それを韓国人が製品化して売るような結構連携している感があります。そういったハードとソフトの会社とうまく提携しながら、韓国にはクリエイターもたくさんいるので、そういった方々と組んでVRのプロダクト開発を一緒にすると、かなりVRの可能性も広がるんじゃないかなと思うのと、向こうの事例も持ってこれるので、日本でどうこうというよりは、VRをやっている人はみんなでいろんな知見を集めるチームを作って、それでVRを推進しちゃおうというのがいいんじゃないかと思ったり、今、向こうの人ともいろいろと考えています。

──そういう意味でいうと、カレイドグラファーさんがハードを作る可能性もあるということでしょうか?

重原 ハードメーカーになるつもりはありませんが、作ることは可能かもしれませんね。

淵上 そうですね。ブランドさん、広告主さんのプロモーションの流れで、どうVRをはめていくかということで、プロモーション予算の中でどういうVR体験をさせるかという考え方なので、我々はハードウェア屋さんでもなくソフトウェア屋さんでもなく、プロモーション、マーケティング予算の中でいろいろと考えていくんですが、結構、ハードを作るバジェットはあると思っているので、ブランドさんのやりたいコンテンツ、発信したいメッセージにどういうコンテンツをのせるかという企画しだいで、じゃあハードから作りましょうかということになることもあり得ますね。

──つまりクライアントさんのやりたいことに合わせて、御社の持っているサービスをすへで提供していくので、コンテンツはその時々に合わせて作っていくということですね。

淵上 そうですね。クライアントさんと一緒に作っていくというスタンスですね。でもそれらを作るだけではやっぱり難しいので、それをカフェスペースのような、たとえばですがVRカフェのようなものを作って、そこにスポンサーさんのコンテンツを置いて、日々、体験できるコンテンツを変えていくような、なんならコンテンツに合わせてカフェのメニューも変えましょうかというような、そこに行けば新しい体験ができますよという、リアルな場所も作っていきたいなと思っています。

酒井 元々僕たちはデジタル側の出身ですが、あまりデジタルのほうだけにこだわらず、今申し上げたようなリアルな場自体も僕たちが提供していくということもやっていかないと、広告主さんに対して体験を提供していくという意味合いでいうと、まだまだデジタルだけでは足りないと思いますし、特にVRはなおさらではないかと思っています。

──それはやはり先ほどVRはまだまだto Cが難しいので、今のうちにリアルな店舗を作って、to Cに対してのサービスも今のうちに用意していこうという意味合いもあるんでしょうか?

酒井 そういう意味合いもあるとは思いますが、to Bに対してもプロモーションの場としてリアルな場が提供できることが、サービスとして重要ですよね。

重原 結局、場所がないと、ずっとスポットでイベントを企業さんにやってもらうという形になってしまうので、そうすると得られるデータも単発になってしまいますので、やはりVRのデータを取っていくには、ある程度定常的に触っていただけるような環境というのを作っていかないと、駄目じゃないかなというのがあったので、リアルな場を作るということにはこだわっています。

──もうそこもすべてそろえてしまうという考え方がまた素晴らしいですね。すごいし、展開が早いですね。

重原 たぶん僕らのまわりの人たち、デジタル系の業界人たちがたくさんいるんですが、なんかVRでデータを取っていくんだろうなーというぐらいしか思っていなくて、まさかリアルな店舗を作るとは誰も思ってないと思います(笑)。この人たちは、デジタル上のVRのデータをいろいろとなんかしようとしているんだろうなぐらいに思ってるんだと思うんですが、僕らはさっきからいっているように、あんまりそこは考えていないんですよ。どちらかというと、ユーザーとのつながりとか、リアルな部分でデータを取ってくることを考えているんです。

淵上 VRは体験する空間がすごく重要だなと思っているんですが、ま、あるカフェにVRがあって、VRを好きな人がそれを目的にくるとか、たまたま入ったカフェにVRがあったからちょっとやってみようとか、いろいろな人が集まってくる中で、それをやった体験、経験について雑談するだけでも、広告主さんからすると、そのデータの価値が全然違うんですよね。そこでブランド体験をしてもらって、ブランドを知っている、知らないということがわかったり、さらに体験もして、それが面白かったとなると、そこでブランド価値もすごく上がっているはずなんですよね。そういう場所での体験は記憶にも残るはずなので、いかに記憶に残る体験をさせるかが重要なプロモーションでは、とても大切なことですよね。

酒井 そこの記憶の残し方のところで、僕たちならではの今までのデータのような経験を組み込みたいというのがあって、ユーザーごとに興味関心が違うので、そういうデータに基づいて、ここでちょっとした関連の映像に切り替えてあげるだとかというようなことも、将来的にやっていきたいよねって、話し合っています。それによってひとりひとりの体験価値がもっともっと上がっていくと思いますしね。

──また御社は株式会社ダズルさんと業務提携されましたが、ダズルさんはどのような関わり方をされるんでしょうか? コンテンツを提供されるようなイメージなんでしょうか?
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重原 ダズルさんは、『AccessiVR(アクセシブル)』というVRのトラッキングシステムのようなミドルウェアを独自に開発されているんですが、そういうツールを自社で持とうと考える企業さんはあまりいらっしゃらないじゃないですか。そこがやっぱりすごいなと思いました。僕らもこれまでデータ分析だとかそういう分野でやってきたので、VRの領域でそこに着手されているダズルさんに、近しい匂いを感じました(笑)。そこが大きいですかね。

酒井 マーケティング業界は、たとえばVRを使ってイベントをどーんとやりました、で、どうだったんだっけ? みたいなことを、しっかりと可視化してあげないと、次につながらなくて、2回目、3回目とそういうイベントを続けるには、僕らもイベントの結果どうだったのかを報告する責任もありますよね。単純にコンテンツが面白くて、はいよかったねではないと思ってます。だからこそデータがすごい重要だと思っていて、そういう意味では、ダズルさんがそういった報告をするようなプラットフォームを開発されていたというので、僕たちと非常に相性がいいだろうなと考えました。

重原 ダズルの山田さん(代表取締役・CEO)自体が元々エンジニアで、マーケティングにもっとVRを使ってほしいという気持ちが強かったので、それがあったからこそそういうミドルウェアを作ったんだと思うんですが、僕らと話をしたときも、やっぱりそうだよねという気が合うところが多々あって、じゃあ一緒にやりましょうかという話になりましたね。

──ベストマッチングですね。

重原 偶然にもオフィスも近くて、歩いて数分ぐらいのところにあって、何かの縁を感じましたね(笑)。

──これですべてはそろったという印象なんですが、次はクライアントさん、ブランドさんだと思うんですが、今現在、ブランドさんでVRをやってみたいという声は多いんですか?

酒井 まだそれほど多くはないですね。逆に否定的な人もいらっしゃいますし。どことはいえませんが、VRのハードを実際に作っている企業さんでも、中にはVRどうなの? っていってくる社員の方もいらっしゃいますよね(笑)。でも期待はしているという声は、多いですね。

それと実際にユーザー側でVRを体験してみると、あ、面白いじゃんってなるので、これはなんかマーケティングに使わない手はないよなぁというのが、やはり僕らの考えですよね。

重原 マーケティング視点でいうと、たぶんリーチをどれだけ取れるかというのが、やっぱり大きいと思うんですが、VRの普及自体がまだまだというのがわかっているので、リーチはまだかなり少ないと思います。ですが圧倒的没入感で、かなり深い体験ができるのがわかってますし、リーチが少ない部分はその深さの体験で補えると思うので、ま、そのへんは僕らが場も提供するということによって、そこも価値はきちんと返せると思っています。

酒井 また現代社会はこれだけユーザー構造が複雑化しているので、マーケティング業界もいわゆる昔ながらのマスマーケティング、CMをどっかんと打てば人が動くという時代じゃないので、やっぱりリーチより深さというように方向性としては変わってきているので、その深さを表現するという意味合いでいうと、VRはすごく相性がいいだろうと思います。

──もうそれはクライアントさんにもそういうふうにアピールしていくということですか?

一同 はい、そうですね。

淵上 VRに関しては、たぶん啓蒙からスタートするようなイメージですね。

──ではもうそういう立ち位置で、VRというこんなのがあるんですがどうですかー? みたいな活動も必要だという感じですね(笑)。

酒井 もう機材もスーツケースにつめて営業活動してますね(笑)。

重原 そうです。お客様のところにスーツケースごと持って行って、まず1回やってみましょうみたいなことを日々しています(笑)。特に今何かプレゼン資料があるとかそういうのじゃなくて、とりあえずVRを体験してみましょうよという感じですね(笑)。

酒井 御社の場合だと、こういうシーンで活かせるんじゃないですかねーみたいなディスカッションしながら温めていってあげると、ちょっとやってみようかなという気持ちになるんじゃないかなという程度で考えてます。

──そうやってクライアントさんを増やしながら、最終的なビジネスはユーザーさんの体験データをどんどん蓄積していくことになるんですかね。

淵上 それと、体験できる場所をたくさん増やしていきたいと思っていますので、自分たちでカフェを増やしていくのもいいと思いますし、すでに店舗をたくさん持っていらっしゃる企業さんの店舗をVRでアレンジして体験してもらうというのでもいいと思いますし、そういうVRを体験できる場所をとにかく増やしていきたいですね。

──最後に、ビジネス以外でVRについて思うことがありましたらお聞かせいただけますか。
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重原 個人的には、女性がかぶれるVRゴーグルをちゃんと開発しないと駄目だなと思うんですよね。ま、どこでかぶるかにもよりますが、髪型とか、化粧とかあるじゃないですか。それがあるので、あまり外ではVRゴーグルをかぶりたくないと思うんですよね。今って、バサッとかぶっちゃうから、全部が崩れちゃうじゃないですか。そういうのっていやだと思うんですよね。
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酒井 俺もいやですからね(笑)。

重原 そうでしょ(笑)。

酒井 バイクのヘルメットもいやなんで(笑)。

重原 それはたぶん今後なんか、改良されていくんでしょうね。

酒井 メガネっぽくなっていくんでしょうね。

淵上 どんどん小っちゃくなっていくはずなんで、そうなって、いろんな人がターゲットになって、いっきに広まるんでしょうね。

重原 確実に1、2年したらPCとVRゴーグルをつないでるケーブルはなくなりますよね。今年1年間のこのハード(HTC Vive)と来年1年間のハードはまた違うので、僕らがやらなくちゃいけないことも、たぶん変わっているんでしょうね。
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──非常にワクワクするチャレンジですね。素敵なお話、ありがとうございました。

■関連サイト
株式会社カレイドグラファー
株式会社ダズル

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この記事を書いた人

高橋ピョン太(@pyonta)

いつかVRの中で寅さんに会いたい。そして帝釈天で一緒に草団子を食べながら、リリーさんの話を聞きたい。そうなるようVRで頑張ります!!
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